ユニカミラス大学とは?
ユニカミラス大学は、2018年に設立されたイタリア・ローマの私立医科大学です。医学・医療科学に特化した大学であり、6年間制の医学部課程(MDコース)は授業がすべて英語で行われます。名称の由来は16〜17世紀に近代医療の礎を築いた聖人“聖カミッロ(Camillo de Lellis)”であり、その精神にならい「国際性」「人道的使命」「包摂的医療」を教育理念としています。ローマ市北東部にキャンパスを構え、複数の校舎・講堂・研究施設が連結した近代的な設備を備えています。
ヨーロッパでもトップクラスの国際性を誇り、学生は60か国以上から集まっています。その国際色豊かなコミュニティにより、多言語・多文化が交錯する学習環境が実現しています。
提携病院と臨床実習
ユニカミラス大学医学部は自前の大学病院を持たず、その代わりにローマおよびラツィオ州内の幅広い医療機関と提携しています。公立の総合病院から私立の専門病院まで多数の研修先が確保されており、その数は年々拡大中です。例えば、大学の主たる提携先としてローマ南部管区の公立病院ネットワーク(ASL Roma 6、オスペダーレ・デイ・カステッリ等)があり、さらに最近の地域当局との合意によりサン・カミッロ・フォルラニーニ病院、サン・ジョヴァンニ病院、サンドロ・ペルティーニ病院、クリスト・レ病院、ヨーロピアン病院など多数の主要医療施設が新たに加わりました。これにより、公的・私的を問わず実習先の選択肢が非常に豊富となっている点が大きな魅力です。
臨床実習は6年一貫医学課程の後半(4年次以降)で本格的に開始されます。1〜3年次は解剖学・生理学など基礎医学が中心ですが、1年次後期から「臨床実習入門」と称した科目が配置され、医療現場を意識した学習が始まります。4年次に白衣授与式が行われると同時に、本格的な病院実習がスタートし、各診療科を系統ごとにローテーションします。5年次も各学期で異なる診療科実習が割り当てられ、6年次は残り少ない講義科目と並行して大部分を臨床実習と卒業研究に充てる流れです。豊富な提携病院のおかげで実習先のマッチングも柔軟に行われ、学生は希望や将来の進路に応じて様々な現場で経験を積むことができます。地域医療への貢献も重視しており、一次医療や地域診療所での研修機会も用意するなど、実践力を養う工夫がなされています。
研究力と教育設備
ユニカミラス大学は創設間もないながら、研究活動にも積極的に取り組んでいます。特に、HIV/AIDSや結核、マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)といった発展途上国で深刻な疾病を重点研究テーマに掲げ、複数の国際研究機関との連携のもとプロジェクトを進めています。
研究成果の発信にも力を入れており、大学発の国際学術誌の刊行や各種カンファレンスの開催を通じて、大学としてのプレゼンス向上とネットワーク拡大を図っています。また、フィジオセラピー(理学療法)やデンティストリー(歯学)、診断学分野の大学クリニック開設プロジェクトも進行中であり、今後さらに教育研究機能の拡充が期待されています。
大学キャンパス内には最先端の研究・教育インフラが整備されています。デジタル生物医学データベースや化学・生物学系の研究センターが設置され、学生や教員は国際的な学術論文や医療情報にオンラインでアクセス可能です。また中央図書館は平日朝8時から夜8時まで開館し、自習やグループ学習に活用できる静かな環境を提供しています。
英語医学部の特徴とカリキュラム
ユニカミラス大学医学部は、全課程が英語で提供される6年制プログラムです。世界中から集まる留学生に配慮し、講義・実習・試験まですべて英語で統一されていますが、同時に臨床現場ではイタリア語が必要になるため、学生には在学中にイタリア語コミュニケーション力を身につけさせる工夫も凝らされています。大学側は1〜2年次に外国人学生向けのイタリア語クラスを開講し、日常会話から医療現場で使う専門用語まで段階的に指導します。多くの学生はキャンパス生活や日々の生活を通じて徐々にイタリア語に慣れ、4年次の臨床実習開始までにCEFR B1程度のイタリア語力を身につけます。
このように「授業は英語・臨床はイタリア語」という二言語環境に身を置くことで、卒業時には英語とイタリア語の両方で患者や医療チームとコミュニケーションできる医師となり、将来的な国際キャリアの幅が広がるメリットがあります。
教育手法にも最新のトレンドが取り入れられています。従来型の大講義に加え、PBL(問題基盤型学習)などの指導法を導入しており、少人数グループで症例ディスカッションやロールプレイを行うことで実践的思考力を養います。特に留学生比率が高い英語コースでは、多文化背景の学生同士が互いに支え合う風土が根付きやすく、上級生チューター制度やアカデミックサポートも充実しています。教授陣は臨床・研究で多忙ですが、その意欲に応えてくれる柔軟な指導体制が整っています。
評価方法にも特徴があります。多くの科目で筆記試験の合格後に教授による口頭試問が課される二段階方式が一般的で、対面で深く知識を問われた上でその場で合否・成績が告げられます。また最終学年の6年次には全員が卒業論文の執筆と口頭発表を行います。この卒業試験(論文発表と実習評価)はイタリアの国家試験を兼ねる形となっており、最終評価に合格すれば卒業と同時に医師免許を取得できる制度です。
入試制度
募集定員は年度により異なりますが、2025年度は英語医学コースで225名(非EU)の定員でした。出願は大学のオンラインポータルから行い、志願書類の提出とともに受験料50ユーロの支払いが必要です。出願者には試験前に受験要領が通知され、自宅のパソコンからオンライン監督下で受験するシステムとなっています。
入学試験は筆記試験と口頭試験に分かれており、各候補者の最終得点は、筆記試験と口頭試験で取得した得点の合計であり、最大120点となります。
筆記試験の総合評価は1問1点で51点満点、口頭試験の総合評価は、最低0点から最高69点までの範囲で行われます。
試験問題の内容はそれぞれ以下の通りです。
筆記試験全51問
:語彙力問題17問、数学的思考力問題17問、抽象的思考力問題、17問
口頭試験6~7問
口頭面接は英語で行われ、以下のトピックに関する知識が出題されます
:一般教養、生物、化学、物理、数学
合否は試験の点数による順位で決定され、例年試験実施から1〜2週間後に合格者リストが公式サイトで発表されます。合格後は秋からの新学期開始に向けて入学手続きを進めます。なお補欠合格制度もあり、上位合格者の入学辞退が出た場合、次点者が繰り上げで合格となることがあります。
学費と生活費
学費は私立大学であるため国交立大学と比較すると高めですが、イギリスやアメリカの私立医学部に比べれば抑えられています。2025/2026年度の年間授業料は20,000ユーロ(約330万円)と定められており、別途、在学中毎年ラツィオ州の地域税(学生支援金)として約140ユーロ前後の支払いも必要です。
ローマで生活する上での生活費は、個人差はありますが月額およそ950〜1,100ユーロ(家賃含む)と見積もられています。日本円にすると月12〜15万円程度、年間では約12,000〜13,000ユーロ(180〜200万円前後)を想定しておく必要があります。ローマはイタリアでも物価の高い都市ですが、住まいはルームシェアを活用する、食費を自炊で抑える等の工夫次第で支出を抑えることができます。大学所有の学生寮もあり、留学生向けに提携している民間寮やアパート紹介も行われています。経済的ハードルを下げつつ質の高い医学教育を受けられる点は、本学を含むイタリア英語医学部の大きな魅力です。
学生生活とサポート体制
ユニカミラス大学のキャンパスには、国際的な学生が安心して学べるサポート体制が整っています。講義・事務手続き・資料配布など大学生活の基本はすべて英語で行われるため、イタリア語ができなくても問題なく生活できます。留学生比率が非常に高いことから職員も英語対応に慣れており、ビザ手続きや居住手続きについても大学のInternational Students向け窓口がサポートしてくれます。実際、本学はその国際性が際立っており、在学生ベースでは非EUを含め世界60ヶ国以上から集まっており、ヨーロッパ最大規模の多国籍コミュニティを形成しています。キャンパス内では英語が共通語ですが、お互いの母語や文化を紹介し合うクラブ活動も盛んで、異文化理解を深める絶好の機会に恵まれています。
キャンパス環境も学生生活を快適にするよう工夫されています。主要校舎のひとつ「UniHall」は学生の自習や交流のためのスペースで、グループ学習室や学生団体オフィス、プリントセンター、ラウンジ(電子レンジや給湯設備完備)などがあり、授業の合間に自由に利用できます。スポーツ施設も近隣の提携機関を利用しており、サッカーやバレーボールのチームに参加する学生もいます。大学発のイベントとしては、白衣授与式のほかにも多文化交流パーティーや学術カンファレンスなどが開催され、学年や国籍を超えた交流の場となっています。教授陣やスタッフも留学生に理解が深く、学業面で困難があれば上級生チューターや教授が個別にフォローする体制があります。また、英語が母国語でない学生には科学英語のサポートプログラムも提供されており、専門用語や医学英語の習熟を支援しています。
首都ローマに暮らす経験も、学生にとって貴重な財産となります。ローマは世界有数の歴史都市であり、在学中は豊かな文化や芸術に触れる機会が日常にあふれています。コロッセオやバチカン市国といった有名史跡から、美術館・コンサートなどの現代文化まで、勉学の合間にリフレッシュできる環境があります。現地で培った人脈は将来の財産となり、卒業後も続くグローバルなネットワークを築けるでしょう。
卒業後の進路・国際認定
ユニカミラス大学の医学部を卒業すると医学博士の学位を取得します。これはイタリア政府およびEUで正式に認可された医学士号であり、欧州連合内のすべての国で通用する資格です。EU指令に基づき、イタリアの医学学位は他のEU加盟国でも互換性が認められているため、追加の試験や研修なしで各国の医師名簿に登録申請することが可能です(言語要件等は各国で定められています)。実際、多くの卒業生がイタリア国内でそのまま専門医研修に進むほか、ドイツやフランス、イギリスなど欧州各国でキャリアを積んでいます。また母国が非EUである学生は、卒業後に自国の医師国家試験を受験したり、あるいは欧米で研修を積んでから帰国したりと様々な進路を辿っています。
日本をはじめEU圏外の国で医師資格を取得する場合は、それぞれの国の制度に従って手続きを行う必要があります。例えば日本では、海外の医学部卒業生が医師国家試験を受験するには厚生労働省による個別審査を経て受験資格を認められる必要があります。帰国を考える場合は、日本の制度に関する最新情報を把握し、計画的に準備を進めることが大切です。一方、欧米でのキャリア形成に関しては前述の通り道が開かれており、ユニカミラス大学で得た学位とスキルを武器に世界中で活躍できる可能性が広がっています。
まとめ
ユニカミラス大学医学部は、英語で医学を学び国際医師への道を進みたい日本人学生にとって、大変魅力的な選択肢です。世界中の仲間と切磋琢磨しながらグローバルな視点と高度な知識・技術を身につけることで、将来は日本のみならず世界を舞台に活躍できる可能性が広がります。入学までのハードルは決して低くありませんが、その先に得られるものは計り知れません。
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ホームページでは「イタリアの医学部に関する情報」や「当校のサービス内容」も掲載しているので、「もっとイタリアの医学部に対して知りたい」という方はぜひ一度ご覧ください。
また現在、ユニカミラス大学では2025年秋入学の第2次募集を受け付けております。興味のある方は下記のリンクより詳細をご確認ください!
https://kondomeditaly.com/news/unicamillus-2025-second-session