ビオメディコ大学医学部英語プログラム完全ガイド2025

受験情報

はじめに

ビオメディコ大学(Università Campus Bio-Medico di Roma, UCBM)は、イタリアの首都ローマに位置する1993年創立の先進的な私立大学です。同大学の英語による医学部プログラム「Medicine and Surgery」は、医学とテクノロジーを融合させたユニークな教育(MedTechアプローチ)を特徴としています。この6年制のプログラムは、世界中から優秀な学生を集め、国際的な医療現場で活躍できる次世代の医師を育成することを目的としています。

2025年度の定員は、EU学生向けとNon-EU学生向けに枠が設けられており、日本からの留学生はNon-EU枠(Medicine and Surgery: 36名, MedTech: 12名)での出願となります。本記事では、この魅力的なプログラムの詳細を公式情報に基づき徹底的に解説します。

大学の基本情報と教育環境

創立、立地、アクセス

ビオメディコ大学(以下、UCBM)は、1993年に「人間中心の科学(Science for Man)」を推進するという理念のもと、著名なカトリック団体であるオプス・デイの支援を受けて設立されました。単なる知識や技術の伝達に留まらず、患者一人ひとりに寄り添う倫理観と人間性を育むことを教育の核としています。

キャンパスはローマ南部のトリゴリア(Trigoria)地区の閑静なエリアに位置し、緑豊かな広大な敷地を誇ります。 都心部からは少し離れていますが、公共交通機関でのアクセスも整備されています。ローマ・テルミニ駅などの主要なハブからは、地下鉄B線でラウレンティーナ(Laurentina)駅まで行き、そこからバス(72番など)に乗り換えることでアクセス可能です。所要時間は都心部から約45分から1時間程度です。この立地は、学生が都会の喧騒から離れ、勉学と研究に集中できる理想的な環境を提供しています。

キャンパスと施設

UCBMの教育理念「人間中心の科学」は、最新鋭のキャンパス設計にも色濃く反映されています。近代的で機能的な建物群は、学生、研究者、教員、そして患者が交流し、知識を共有するハブとしてデザインされています。

教育・研究施設: 講義室や研究室は、最新のデジタル設備とAVシステムを備えています。特に、医学と工学の融合(MedTech)を掲げる大学らしく、シミュレーションセンター「CU.S.B. (Campus-University Simulation-Based)」は、学生が安全な環境で高度な医療手技を実践的に学ぶことができる最先端の施設です。 図書館は、医学、看護学、工学分野の専門書を豊富に所蔵しており、オンラインデータベースや電子ジャーナルへのアクセスも充実しています。これにより、学生は最新の研究成果に常に触れることができます。

学生生活施設: キャンパス内には、学生のウェルビーイングをサポートするための施設が整っています。複数のカフェテリアやバーがあり、手頃な価格でバランスの取れた食事を提供しています。また、広々とした学習スペースやラウンジは、学生同士の交流や共同学習の場として活用されています。

スポーツと学生団体

UCBMは、学業だけでなく、学生の人間的な成長を促す課外活動も積極的に推奨しています。 スポーツ活動: キャンパスには、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどが楽しめる多目的スポーツ施設があります。学生はこれらの施設を利用してリフレッシュしたり、チームスポーツを通じて協調性を養ったりすることができます。大学主催のトーナメントなども定期的に開催されています。

学生団体: 文化、社会貢献、学術など、多岐にわたる学生団体が存在します。例えば、国際的な医療支援活動を行う団体や、特定の医療分野に関する研究会などがあり、学生は自らの興味や関心に応じて参加することができます。これらの活動は、専門知識を深めるだけでなく、リーダーシップや社会性を育む貴重な機会となっています。大学はこれらの学生主体の活動を支援し、活気あるキャンパスコミュニティの形成を促進しています。

卓越した研究力と国際的評価

提携病院・医療グループとの連携

UCBMの医学教育の中核をなすのが、キャンパス内に併設された提携教育病院「ビオメディコ大学病院(Policlinico Universitario Campus Bio-Medico)」です。この病院は、最新の医療設備と高度な専門性を持つ、イタリアでも有数の近代的な医療機関です。

  • 病床数: 約400床
  • 年間患者数: 公式な総患者数は変動しますが、高度な治療を求めてイタリア国内外から多くの患者が訪れます。
  • 診療科数: 35以上の診療科を有し、内科、外科、循環器科、腫瘍科、神経科など、広範な領域をカバーしています。
  • 特色ある診療分野: 特に、腫瘍学(Oncology)、心臓血管疾患、神経科学、老年医学の分野で高い評価を受けています。ロボット支援手術(ダヴィンチ)などの低侵襲治療にも力を入れており、学生は最先端の臨床現場で実習を行うことができます。

この大学と病院が一体となった環境により、学生は1年次から医療現場との接点を持ち、基礎医学の知識と臨床応用をスムーズに結びつけることが可能です。教員の多くは現役の臨床医でもあり、研究者でもあるため、学生は常に最新の知見に基づいた実践的な指導を受けることができます。

研究実績の数値化

UCBMは若い大学ながら、その研究力は国際的に高く評価されています。特に「医学」と「工学」の学際的な研究に強みを持ち、多くの革新的な成果を生み出しています。

  • 論文発表: 年間に発表される査読付き論文の数は着実に増加しており、その質もNatureやScienceといったトップジャーナルに掲載されるなど、非常に高いレベルにあります。具体的な年間論文数や総インパクトファクターに関する最新の公式データは公表されていませんが、大学の年次報告書などでその成果が報告されています。
  • 研究成果: パーキンソン病の新しい治療法の開発、バイオセンサー技術を用いた診断法の研究、医療用ロボットの開発など、具体的な研究プロジェクトが多数進行中です。これらの研究には学生も積極的に参加する機会があり、リサーチマインドを持った医師の育成に繋がっています。
  • 研究資金: イタリア国内の研究費だけでなく、欧州連合(EU)が主導するホライゾン・ヨーロッパ(Horizon Europe)や欧州研究会議(ERC)からの大型研究資金を継続的に獲得しており、その研究活動の国際的な競争力の高さを証明しています。

主要大学ランキングにおける位置づけ

UCBMの研究と教育における卓越性は、主要な世界大学ランキングでも認められています。

ランキングカテゴリーイタリア国内順位世界順位
QS世界大学ランキング2025総合公式情報なし公式情報なし
QS世界大学ランキング2025医学分野公式情報なし公式情報なし
THE世界大学ランキング2025総合公式情報なし501-600位
THE世界大学ランキング2025医学・健康分野公式情報なし301-400位
Censis 2024/2025医学部(私立)公式情報なし

注:ランキングは毎年変動します。QSランキングについては、大学公式サイトではTHEランキングを主に使用しており、同等の順位帯にあると推測されますが、本記事では確認できた情報のみを記載しています。Censisの私立大学医学部ランキングは、最新版でのUCBMの順位が確認できませんでした。

Times Higher Education (THE) ランキングでは、特に「研究の質(Research Quality)」の項目で高い評価を獲得しており、新興大学ながら世界トップクラスの研究機関と伍して競い合っていることが示されています。

国際医師プログラム(英語プログラム)の徹底解剖

カリキュラムと教育方針

UCBMの英語による6年制医学部プログラムは、2017年に設立され、合計360 ECTS (European Credit Transfer and Accumulation System) を取得することで卒業できる統合型修士学位プログラムです。本プログラムの最大の特徴は、伝統的な医学教育に最先端の工学技術(バイオインフォマティクス、医療AI、医用生体工学など)を融合させた「MedTech」アプローチにあります。これにより、将来の医療が直面するであろう技術的課題に対応できる、新しいタイプの医師を育成します。

1-2年次(基礎医学 – Basic Sciences): 最初の2年間は、人体の構造と機能に関する強固な科学的基盤を構築することに焦点を当てます。

  • 主な科目: 生物学・遺伝学、化学・生化学、人体解剖学、組織学・発生学、生理学、病理学概論、微生物学、免疫学など。
  • 特徴: 初年度から「Medical Humanities(医療人文学)」の科目が組み込まれ、科学的知識だけでなく、患者とのコミュニケーションや倫理的側面の重要性も学びます。また、基礎科目の講義と並行して、研究室での実習や少人数でのチュートリアルが行われます。

3-4年次(臨床前教育 – Pre-clinical Education & Clerkships): 3年次からは、各器官系の疾患について系統的に学び、臨床スキルの基礎を固めていきます。

  • 主な科目: 内科学、外科学、薬理学、診断画像学、臨床病理学、心臓病学、呼吸器病学、消化器病学、神経学など。
  • 特徴: この段階から、大学病院での本格的な臨床実習(Clerkship)が始まります。学生は少人数のグループで各診療科をローテーションし、指導医のもとで実際の患者の診断や治療計画のプロセスを間近で学びます。シミュレーションセンターでのトレーニングも頻繁に行われ、問診、身体診察、基本的な臨床手技を繰り返し練習します。

5-6年次(臨床実習 – Clinical Rotations): 最後の2年間は、ほぼ全ての時間を大学病院での臨床実習に費やします。

  • 主な科目: 救急医学、小児科学、産婦人科学、精神医学、公衆衛生学、法医学など、より専門的な診療科をローテーションします。
  • 特徴: 学生は医療チームの一員として、より責任のある役割を担います。指導医の監督下で、患者の受け持ち、カルテの記載、症例プレゼンテーションなどを行い、臨床推論能力と実践力を高めます。6年次には、卒業論文(Thesis)の研究と執筆、そして国家試験に向けた準備も行われます。

教育方法としては、伝統的な講義に加え、PBL (Problem-Based Learning) やケーススタディを積極的に導入しています。学生と教員の比率が低く、少人数教育が徹底されているため、学生一人ひとりへのきめ細かな指導が可能です。

専門性を高める選択トラック/特色

UCBM医学部の際立った特色は、前述の「MedTech」アプローチです。これは、すべての学生が学ぶコアカリキュラムに組み込まれており、追加の選択ではありません。具体的には、以下のような科目が必修または選択科目として提供されます。

  • Biomedical Engineering: 医療機器の原理と応用
  • Bioinformatics: ゲノムデータや臨床データの解析
  • Artificial Intelligence in Medicine: 診断支援や治療計画におけるAIの活用
  • Telemedicine: 遠隔医療の技術と実践

これにより、卒業生は臨床医としてだけでなく、医療技術の開発や評価、医療システムのDX(デジタルトランスフォーメーション)をリードできる人材となることが期待されています。


💡 各大学の詳細なカリキュ-ラムについて知りたい方へ
当校では、イタリア医学部21大学すべての最新カリキュラム情報や入試傾向を把握しており、無料個別相談会で詳しくご案内しています。志望校選びから具体的な学習計画まで、経験豊富なアドバイザーがサポートいたします。
無料相談のお申し込みはこちら


入試制度と学費

入学試験の詳細

ビオメディコ大学の医学部英語プログラムへの入学には、大学が独自に実施する入学試験に合格する必要があります。イタリアの国公立大学で採用されているIMATとは異なる、独自の試験です。

試験概要

  • 形式: オンライン形式(自宅等から監督付きで受験)
  • 試験時間: 100分
  • 問題数: 80問(多肢選択式)
  • 科目配分:
    • 論理的思考 (Logical Reasoning): 45問
    • 生物学 (Biology): 15問
    • 化学 (Chemistry): 15問
    • 数学・物理 (Maths and Physics): 5問
  • 採点方式: 正答: +1点、誤答: -0.2点、無回答: 0点

試験は論理的思考の問題が半分以上を占めるのが大きな特徴で、単なる知識だけでなく、情報を迅速かつ正確に処理する能力が問われます。

出願資格、日程、費用

募集人数 (2025/2026年度)

  • EU学生:
    • Medicine and Surgery: 72名
    • MedTech: 68名
  • Non-EU学生(日本からの出願者はこちら):
    • Medicine and Surgery: 36名
    • MedTech: 12名

2025/2026年度入試日程 UCBMでは例年、複数回の試験セッションが設けられます。以下は2024年に実施された日程を参考にしたものであり、2025年の正式日程は必ず大学公式サイトで確認してください。

  • 第1回試験日: 2025年2月上旬〜中旬頃に実施される見込み
  • 第2回試験日: 2025年3月上旬〜中旬頃に実施される見込み
  • 出願期間:
    • 第1回: 2024年11月頃〜2025年1月下旬頃
    • 第2回: 2025年2月上旬頃〜3月上旬頃
  • 結果発表: 各試験日から約1〜2週間後
  • 受験料: 約170ユーロ(セッション毎)。2つのセッションを同時に申し込むと割引が適用される場合があります。

英語能力要件

出願時に、CEFR B2レベル以上の英語能力を証明する公式な証明書の提出が求められます。これらのスコアは最低要件であり、より高いスコアを持つことが推奨されます。証明書は出願手続きの際にアップロードが必要です。

年間授業料

  • Non-EU学生: 18,000ユーロ (2024/2025年度実績)
  • その他必要経費: 上記に加え、年間140ユーロのラツィオ州地域税が必要です。
  • 支払い方法: 授業料は年3回の分割払いが可能です。
    • 1回目(入学登録時)
    • 2回目(1月頃)
    • 3回目(4月頃)

💡 ビオメディコ大学の入試対策をお考えの方へ
当校では、ビオメディコ大学専用の入試対策教材をご用意しています。過去問分析に基づいた予想問題集や、特に配点の高い「論理的思考」に特化した対策講座で効率的な受験準備が可能です。また、複雑な出願手続きの代行サービスも提供しており、書類準備から提出まで完全サポートいたします。
無料相談のお申し込みはこちら


ローマでの学生生活

キャンパスライフと住居

UCBMでの学生生活は、学問だけでなく生活面でも充実したサポートが受けられます。特に住居に関しては、大学が提携する複数のオプションがあります。

学生寮 大学はいくつかの学生レジデンスと提携しており、学生は割引料金で入居できる場合があります。

  • RUI Foundation提携寮: 男子寮(RUI)、女子寮(Porta Nevia, Celimontano)などがあり、部屋代だけでなく、食事、清掃、学習サポートなどが含まれるパッケージが提供されています。費用は所得に応じて変動しますが、年間を通じて安定した生活環境が保証されます。
  • Domus Italia Student Housing: キャンパスから約3.5kmの場所に位置するアパートメント。大学へのシャトルバスも利用可能です。
  • 申請方法: 各寮のウェブサイトから直接、または大学の学生サービスを通じて申請します。入学許可が出たら早めに手続きを開始することが推奨されます。

民間賃貸 より自由な生活を望む学生は、民間のアパートを借りることも一般的です。キャンパス周辺のトリゴリア地区や、交通の便が良いラウレンティーナ地区などが人気です。

  • ローマの家賃相場(月額):
    • シングルルーム(アパートシェア): 450 – 600ユーロ
    • ワンルームアパート(Monolocale): 800 – 1,200ユーロ

月間生活費の目安(住居費除く):

  • 食費: 200 – 300ユーロ(自炊中心の場合)
  • 交通費: 35ユーロ(学生向け年間パスを月割計算)
  • その他(書籍、交際費など): 150 – 250ユーロ 合計で、月々400〜600ユーロ程度が目安となります。

ローマの魅力

「永遠の都」ローマでの学生生活は、それ自体が貴重な学びの機会です。

  • 都市の概要: 人口約280万人のイタリアの首都。歴史、芸術、文化、ファッション、食の中心地です。気候は地中海性気候で、夏は暑く乾燥し、冬は温暖で雨が多いです。治安は概ね良好ですが、観光地ではスリなどの軽犯罪に注意が必要です。
  • 交通: 地下鉄、バス、トラムが市内を網羅しており、移動は非常に便利です。学生は割安な年間パスを購入できます。
  • 国際的な環境: 世界中から観光客や留学生が集まるため、英語が通じやすい場面も多いです。日本人コミュニティや日本食レストラン、食材店なども存在し、いざという時に心強い存在となります。

コロッセオやバチカン市国といった世界遺産に気軽に足を運べるだけでなく、少し路地に入れば地元の活気あふれる市場やカフェが広がっています。歴史と現代が融合したこの街での6年間は、医師としてだけでなく、一人の人間として豊かな経験を積むことができるでしょう。


📍 現地の生活情報をもっと知りたい方へ
当校では、各都市の詳細な生活情報や、日本人学生のコミュニティ情報なども提供しています。住居探しのコツや生活費の節約方法など、実践的なアドバイスは無料個別相談会でお伝えしています。


まとめ

本記事では、ローマの私立大学であるビオメディコ大学(UCBM)の英語医学部プログラムについて、大学の公式情報、政府機関のデータ、国際的なランキング情報といった信頼性の高い情報源のみに基づき、その詳細を解説しました。

UCBMは、最先端の工学技術を医学教育に融合させた「MedTech」アプローチと、キャンパス内に併設された近代的な大学病院での緊密な臨床教育という点で、特にテクノロジーを活用した未来の医療をリードしたい、研究マインドを持った学生にとって理想的な選択肢となっています。

独自の入学試験は論理的思考を重視するなど特徴的ですが、しっかりと対策をすれば合格の道は開かれます。当校では、最新の大学情報はもちろん、合格者の実体験や現地病院の事情などを総合して、志望校選びや入試対策をサポートしています。無料の個別相談会も随時実施しております。「直接話を聞いてみたい」という方はお気軽にお申し込みください。複雑な出願手続きや受験準備を円滑に進めるためのアドバイスはもちろん、現地での生活サポートや卒後の進路に関する情報もお伝えいたします。

ホームページでは「イタリアの医学部に関する情報」や「当校のサービス内容」も掲載しているので、「もっとイタリアの医学部に対して知りたい」という方はぜひ一度ご覧ください。

公式HP | お問い合わせフォーム

参考文献

  1. Università Campus Bio-Medico di Roma 公式ウェブサイト
  2. Times Higher Education (THE) World University Rankings 2025
  3. Policlinico Universitario Campus Bio-Medico
  4. イタリア大学研究省(MUR)