はじめに
ヨーロッパで英語を使って医学を学べる国はいくつかありますが、その中でもイタリアの英語医学部は学費や教育水準、国際性の面で注目されています。国公立だけでなく私立大学でも英語コースが開講されており、国際色豊かな環境の中で最先端の医学教育を受けることが可能です。
一方で、どの大学を選択するか、どんな入試にチャレンジすべきかなど、イタリア医学部留学に必要な情報が日本語では少なく、準備に戸惑う方も多いかもしれません。本記事では、イタリア英語医学部の概要や学費、募集人数、試験形式などをわかりやすくまとめました。イタリア医学部進学をお考えの方は、ぜひ最後までご一読ください!
イタリア英語医学部とは
イタリアは長い歴史と豊かな伝統を持ちながらも、国際化の波に合わせて柔軟な教育プログラムを提供しており、英語医学部もその一つです。留学生は国立・私立を問わず、ローマやミラノ、ナポリ、ヴェネツィアといった魅力的な都市に位置する様々な大学の中から自分に合った環境を選択できます。
それでは、具体的にイタリア英語医学部の仕組みを見ていきましょう。
6年制プログラムとMD取得
- 修業年限:
イタリアの医学部は、医学部入学から6年間(6-year single-cycle degree)で教育課程を完了します。 - 学位:
卒業時には「MD(Doctor of Medicine and Surgery)」の学位を取得し、EU諸国で有効な医師免許を取得可能です。
また、現在国公立のマルケ工科大学をはじめ、私立のヒュマニタス大学、ビオメディコ大学の3大学において医学と生体医工学の両方の学位を取得可能なダブルディグリープログラムも存在します。 - カリキュラム:
最初の1~3年時は基礎医学・科学科目(生物・化学・解剖学など)を学び、後半の4~6年時は臨床医学や病院実習が中心になります。
イタリアを含む欧州連合(EU)内では、ボローニャ・プロセスによって高等教育の枠組みが調整・標準化されてきました。その影響もあり、エラスムスなどの交換留学が盛んで、在学中にスペインやドイツ、スウェーデンなど、さまざまな国に留学することが可能です。
また、イタリアで取得した医学の学位は、EU圏内での専門医研修や就職に際して高い互換性があり、各国ごとに主に語学面での要件が設けられている場合が多いものの、他の欧州諸国の病院で研修を受けたり、医師として働くことも可能です。
授業は英語、ただしイタリア語も重要
・英語での授業・試験
イタリア英語医学部の最大の特徴は、講義や演習、試験など、ほぼすべてのアカデミックカリキュラムが英語で行われる点です。英語で医学教育を受けられるため、国際的に通用する医療知識やスキルを習得しやすい環境といえます。実際に卒業生の多くはUSMLEなどを受験し、アメリカや英語圏のマッチングシステムに参加して就職を実現しています。
また、欧州の医学部全般の特徴として、ほとんどの国立大学では1年次から、私立大学では2~3年次から試験形式が教授との口頭試問形式となります。この点は日本の医学部との大きな違いとして把握しておくことが重要です。
・イタリア語習得の必要性
一方で、臨床実習が始まると病院での患者対応や、医師・看護師とのコミュニケーションにはイタリア語が不可欠です。多くの大学では留学生向けに1・2年次にイタリア語コースを設けているほか、自主的に語学力を高めることも求められます。また、一部の大学では3~4年次の病院実習までに、CEFR B1レベルのイタリア語試験に合格する必要があります。
国公立大学と私立大学の英語コース
イタリアには、国公立大学と私立大学の両方に英語医学部コースが存在します。いずれの大学も海外からの留学生を積極的に受け入れており、それぞれ独自の強みや特色を持ちます。
国公立大学の英語医学部コース
国公立大学の英語医学部コースは、イタリア政府が管理する共通試験であるIMAT(International Medical Admissions Test)のスコアをもとに合否が決定されるのが大きな特徴です。IMATは英語で行われるため、欧州連合(EU)加盟国以外からの留学生でも受験が可能となっています。
- 入試
- IMAT受験必須:生物・化学・物理・数学、論理・一般常識などを英語で解答
- 試験日程:例年9〜10月頃(年に1度のみ実施)
- 募集枠:EU圏内枠、EU圏外枠など大学ごとに定員が設定されている
- 学費
- 年間€1,000〜€3,000程度が目安(所得証明により減免措置がある大学も)
- 私立大学と比べると低額で、経済的負担を抑えられるケースが多い
- 教育環境
- 歴史ある大学が多く、大規模な研究施設や大学病院を持つ
- 歴史ある分、設備やサポート体制が不十分な場合もある(*特にイタリア南部)
私立大学の英語医学部コース
私立大学の英語医学部コースは、大学ごとの独自試験や面接によって選抜を行うのが一般的です。国立大学のようにIMATを介さず、各大学が設定した試験科目や英語力証明(IELTSやTOEFLなど)を要件とする場合があります。
- 入試
- 独自の筆記試験・面接試験:生物・化学・物理などの科学分野と論理的思考、英語力を評価
- 応募時期:大学ごとに異なり、春先から秋頃まで複数回行われるケースもある
- 学費
- 年間€18,000〜€23,000程度が目安
- 国立大学より高額だが、日本の私立医学部と比較すると6年間の総額は抑えられる傾向
- 教育環境
- 大手医療グループと連携した大学では先端医療設備が充実し、海外からの著名教授を招聘することも多い
- 上記のコネクションを生かして卒後アメリカ等欧米圏への就職が強い
- ストレート卒業率が国公立大学に比べて高い
- 留学生へのサポート体制が整っている大学も多い
まとめ
本記事では、近年注目を集めつつも、その実態がまだ十分に知られていないイタリアの英語医学部について解説しました。イタリア医学部への進学を検討する際には、学費だけでなく、入試形式や教育環境、提供されるカリキュラムが自分の将来ビジョンに合っているかどうかを見極めることが大変重要です。最終的に志望校を決める際には、学費や入試制度だけでなく、自分の学力や経済状況、英語力、さらには卒業後のキャリアプランなどを総合的に考慮しましょう。イタリアの英語医学部は欧州連合(EU)のネットワークを活かせるメリットも大きく、国際的に活躍する医師を目指す方にとっては魅力的な選択肢となります。
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